信仰・歴史日本百観音秩父三十四箇所

秩父札所1番 四萬部寺|秩父札所1番・発願の寺の歴史と見どころ

信仰・歴史
この記事は約10分で読めます。

参拝日:2026年10月12日(月)

 みなさまは、秩父三十四箇所もしくは秩父三十四観音をご存知でしょうか?秩父三十四箇所については、こちらにまとめましたので、ご興味有る方は是非ご覧ください。

秩父三十四箇所巡礼の入門|秩父三十四箇所の成り立ちと全34札所の一覧
秩父札所巡りを考えている方に向けて、秩父三十四箇所の成り立ちと特徴、全34札所の一覧をまとめました。巡る順番や納経時間・納経料、徒歩・車・電車とバスでの回り方、冬の注意にも触れているので、秩父三十四観音の御朱印巡りを計画するときの基本が分かります。

 その秩父三十四箇所における最初のお寺が「四萬部寺」です!四萬部寺は、秩父三十四箇所の1番札所で、巡礼を始める「発願の寺」になります。元禄10年(1697年)に建てられた観音堂は、埼玉県の指定文化財に指定されています。

 この記事では、寺名の由来と歴史、御詠歌、御朱印の時間と料金、アクセスをまとめました。巡礼用品も境内でそろうため、四萬部寺は秩父札所巡りを準備から始められる寺です。

四萬部寺の歴史と信仰

寺名は四万部の経を納めた経塚に由来する

 四萬部寺は、秩父市栃谷にある曹洞宗の寺で、山号を誦経山(ずきょうさん)といいます。「四万部寺」と書かれることもありますが、寺と秩父札所連合会の表記は「四萬部寺」です。

 寺名の由来は、書写山の性空上人の弟子である幻通が、この地で四万部の経を読誦し、経塚を築いたことと伝えられています。経塚とは、経典を土の中に納めて築いた塚のことです。経を書き写して地中に納めたとする話もあり、伝承にはいくつかの形があります。

 始まりについては、奈良時代に行基が彫った聖観音を岩窟に祀ったことともいわれています。

長享の番付では24番、江戸時代に1番となる

 秩父札所は、文暦元年(1234年)に開かれたと伝えられる観音霊場です。その古い姿を伝える「長享の秩父札所番付」は、長享2年(1488年)の年紀をもつ番付です。ここでは四萬部寺は24番で、1番は今の17番定林寺でした。当時は秩父の市街地を中心に巡る順番だったとされています。

 また、現在の札番は、江戸時代の中期に定まりました。江戸からの巡礼者のために、坂東9番慈光寺に参ったあと粥仁田峠(かゆにたとうげ)を越え、1番四萬部寺から巡る道が整えられました。

 秩父札所全体の成り立ちは、秩父三十四箇所のまとめ記事で紹介しています。西国・坂東と合わせた百観音については、日本百観音のまとめ記事をご覧ください。

観音堂は元禄10年(1697年)建立の県指定文化財

 本堂でもある観音堂は、元禄10年(1697年)に建てられました。御本尊の聖観世音菩薩は、この堂に祀られています。「秩父札所一番観音堂」の名で、埼玉県の有形文化財に指定されています。

 見どころの一つが、正面の欄間に施された地獄と極楽の彫刻です。堂の天井には雲龍図が描かれており、狩野派の絵師によるものとされています。巡礼の読経は、この観音堂で行います。

 こちらが観音堂正面の欄間の彫刻で、極楽之図と書かれています。

 打って変わってこちらが、観音堂正面の欄間の彫刻で、地獄之図と書かれています。極楽と地獄は、両方とも正面を向いており一度に見ることが可能です。

施食殿の大施餓鬼会は関東三大施食の一つ

 観音堂の右手には、施餓鬼の法要を行う施食殿(施餓鬼堂)が建っています。堂の中には八角形の輪蔵が納められ、中央に地蔵尊が祀られています。輪蔵の面に刻まれているのは、供養された人々の戒名です。

 毎年8月24日には、この施食殿で大施餓鬼会(大施食会)が営まれます。秩父の僧侶が宗派を問わず集まる法要で、古くから関東三大施食の一つに数えられてきました。かつては多くの米を炊き、集まった人々に広く施したと伝えられています。法要は午前10時30分から始まり、誰でも参列できます。8月13日から15日には、お盆の供養も行われています。

里帰りした釈迦如来像や十二支の守り本尊もある

 境内には、かつて経塚の本尊として祀られていた釈迦如来像があります。明治時代に行方が分からなくなり、約70年後に東京で見つかって寺に戻りました。そのいきさつから、「お里帰りのお釈迦様」と呼ばれています。

 生まれ年の干支ごとに守り本尊を祀る「十二支守り本尊(八体仏)」も境内に並びます。自分の干支の仏さまにお参りすると、厄除けや開運などのご利益があるとされています。

 お里帰りのお釈迦様の横に、十二支守り本尊(八体仏)が並んでおり、こちらのそれぞれの仏様は後で見ていきます。

四萬部寺の基本情報

四萬部寺の基本データ

項目内容
札所秩父三十四箇所 1番
山号・寺号誦経山 四萬部寺(ずきょうさん しまぶじ)
宗派曹洞宗
本尊聖観世音菩薩
所在地埼玉県秩父市栃谷418
電話0494-22-4525
拝観料無料
休みなし(年中無休)
駐車場あり(無料。普通車・マイクロバス・大型バス可)
主な行事5月第2日曜日 降誕会・大般若転読/8月24日 大施餓鬼会/12月31日 除夜暁鐘の会

御詠歌は寺名の由来の「四万部」を詠む

 四萬部寺の御詠歌は、次の一首です。

ありがたや 一巻ならぬ 法(のり)のはな 数は四萬部(しまぶ)の 寺のいにしへ(いにしえ)

 「法のはな」は仏の教えを花にたとえた言葉です。一巻どころではない、四万部もの経が納められたという寺の昔を、ありがたく思う気持ちが詠まれています。寺名の由来となった経塚の伝承と、そのまま重なる歌です。

御朱印は8時から、納経料は500円

【御朱印】

項目内容
受付時間(3〜10月)8:00〜17:00
受付時間(11〜2月)8:00〜16:00
昼休み12:00〜12:30
納経料(御朱印)500円
重ね印(2巡目以降)200円
授与場所納経所(本堂に向かって右手)

 参拝の流れは、山門で一礼して境内に入り、観音堂で手を合わせるのが基本です。般若心経を唱える場合は、黙読でもかまいません。御朱印は、参拝を済ませてから納経所で受けます。法要などで、受付が一時的に休みになることもあります。

 納経帳は秩父札所専用のもののほか、手持ちの御朱印帳でも受けられます。2巡目からは、同じ頁に朱印を重ねる「重ね印」を受ける人も多くいます。

 納経所では、納経帳のほか、納札、白衣、輪袈裟、金剛杖などの巡礼用品をそろえられます。何も持たずに訪れても、ここで準備を整えて巡礼を始められるのが、1番札所ならではの特徴です。

総開帳の期間中は御手綱と記念印がある

 令和8年(2026年)は、12年に一度の午歳総開帳の年です。期間は3月18日から11月30日までで、ふだんは公開されない御本尊が御開帳されます。

 期間中は、御本尊とつながる御手綱に触れることができます。御朱印には総開帳の記念印が加わり、御朱印を受けた人には散華が授与されます。2巡目以降の重ね印にも、記念印が押されます。

西武秩父駅からバスで約25分

交通手段経路
バス西武秩父駅から西武観光バス「皆野駅行き」で約25分、「札所一番」下車
バス西武秩父駅から西武観光バス「定峰行き」などで約24分、「栃谷」下車、徒歩3分
電車+徒歩秩父鉄道「和銅黒谷駅」から徒歩45分
車関越自動車道「花園IC」から約40分/皆野寄居有料道路「皆野長瀞IC」から約10分

 バスは本数が少ないため、時刻を前もって調べておくと計画を立てやすくなります。駐車場は大型バスまで入れるため、団体の巡礼でも利用できます。駐車料はかかりません。

次の2番真福寺へは約2.1km、急な上り坂

 1番から2番真福寺までは約2.1kmで、徒歩では50分ほどかかります。この道は急な上り坂が続き、秩父札所の徒歩の難所の一つに数えられています。歩きやすい靴と飲み物を用意しておくと安心です。

 また、車で向かう時にも、道がかなり狭いので対向車には十分注意して運転することが必要です。

 2番真福寺の御朱印は、山の上のお堂ではなく、山を下った光明寺で受けます。次の札所の歴史や見どころは、2番真福寺の記事で紹介しています。

御本尊の撮影は禁止されている

 秩父三十四箇所では、すべての札所で御本尊の撮影が禁止されています。境内の撮影は、現地の掲示や寺の案内に従ってください。

四萬部寺の参拝記録

 実際の参拝記録をご紹介していきます。

 この日はマイカーで巡礼する予定だったので、四萬部寺の駐車場に車を停めさせていただいて、大きな白い看板がある方に歩いていきました。曲がり角を曲がると、四萬部寺の山門に到着します。秩父三十四箇所で最初に通る山門です!

 四萬部寺の歴史について掘られています。元禄十年(1697年)に再建されたそうです。江戸の匠達による再建だったことが伺えます。

 手水舎は、山門を通ってすぐ左にあります。蓮の葉がモチーフになっています。

 開山端山守的禅師の座禅石と秩父宮妃殿下御参拝記念御手植樹の看板がありました!この木は結構大きかったです。

 施食殿は、観音堂から廊下を渡って進むことが出来ます。1周もそんなに大きくなかったので、グルっと回ってみるのも良いかもです。

四萬部寺がおすすめな人

これから秩父札所巡りを始める人

 1番の発願の寺で、納経帳や白衣などの巡礼用品を境内でそろえられます。何を準備すればよいか迷っている人も、ここから巡礼の形を整えられます。分からないことは納経所で尋ねられるため、初めての札所巡りの出発点に向いています。

江戸時代の寺院建築や彫刻に関心がある人

 元禄10年(1697年)の観音堂は、埼玉県の指定文化財です。正面の欄間に彫られた地獄と極楽の場面は、近くで細部まで眺められます。堂内の天井には、狩野派の絵師によるものとされる雲龍図もあります。

お盆の時期に先祖の供養をしたい人

 8月24日の大施餓鬼会は、関東三大施食の一つとされる法要です。宗派を問わず参列でき、秩父の夏の行事として長く続いています。

車やバスで無理なく札所巡りを始めたい人

 西武秩父駅からバスで行け、大型バスまで停められる駐車場もあります。2番真福寺までの道は坂がきついため、歩くか車を使うかを決めてから出発すると安心です。

参考資料

  • 1番 四萬部寺/秩父札所連合会/https://chichibufudasho.com/fudasho/shimabuji/ /確認日:2026年10月14日(山号、宗派、本尊、発願の寺、寺名の由来、観音堂の建立年と文化財指定、欄間の彫刻、施食殿と大施餓鬼会、関東三大施食、御詠歌、長享番付、所在地、電話、駐車場、アクセス、行事、十二支守り本尊)
  • 秩父札所について/秩父札所連合会/https://chichibufudasho.com/temple-pilgrim/ /確認日:2026年10月14日(長享の番付、江戸からの巡礼道)
  • 札所一覧/秩父札所連合会/https://chichibufudasho.com/fudasho/ /確認日:2026年10月13日(2番真福寺までの距離と時間、光明寺の納経所)
  • よくある質問/秩父札所連合会/https://chichibufudasho.com/faq/ /確認日:2026年10月14日(受付時間、御朱印料、重ね印、定休日、駐車料、1番から2番への道、バス)
  • 午歳総開帳/秩父札所連合会/https://chichibufudasho.com/soukaicho/ /確認日:2026年10月14日(今の札番になった時期、御手綱、記念印、散華、重ね印の記念印、拝観料)
  • 秩父札所午歳総開帳 特設サイト/秩父札所連合会/https://event.chichibufudasho.com/ /確認日:2026年10月14日(総開帳の期間)
  • 秩父札所連合会 公式Instagram(@chichibufudasho)/秩父札所連合会/https://www.instagram.com/chichibufudasho/ /確認日:2026年10月【日】日(御本尊の撮影禁止)
  • 四萬部寺 公式サイト「四萬部寺について」/四萬部寺/https://www.shimabuji.com/about/ /確認日:2026年10月14日(開創の伝承、経を書き写したとする由来、御詠歌の読み)
  • 四萬部寺 公式サイト「本堂・境内案内」/四萬部寺/https://www.shimabuji.com/keidai/ /確認日:2026年10月14日(観音堂、欄間、施食殿、お里帰りのお釈迦様、十二支守り本尊、読経の場所)
  • 四萬部寺 公式サイト「御朱印紹介」/四萬部寺/https://www.shimabuji.com/gosyuin-shakyo/ /確認日:2026年10月14日(受付時間、納経料、授与場所、天井の雲龍図)
  • 四萬部寺 公式サイト「参拝・巡礼」/四萬部寺/https://www.shimabuji.com/junrei/ /確認日:2026年10月14日(巡礼用品、受付の一時休止)
  • 四萬部寺 公式サイト「交通の案内」/四萬部寺/https://www.shimabuji.com/access/ /確認日:2026年10月14日(バスの所要時間、車での所要時間、駐車場、年中無休)
  • 四萬部寺 公式サイト「午年総開帳」/四萬部寺/https://www.shimabuji.com/soukaicho/ /確認日:2026年10月14日(総開帳の御手綱・記念印・散華、拝観料)
  • 四萬部寺 公式サイト「夏の行事」/四萬部寺/https://www.shimabuji.com/schedule/summer/ /確認日:2026年10月14日(大施食会の参列)
  • 建造物/秩父市/https://www.city.chichibu.lg.jp/3986.html /確認日:2026年10月14日(県指定有形文化財「秩父札所一番観音堂」)
  • 秩父札所 1番 四萬部寺/秩父札所 おもてなし(多言語サイト)/https://www.chichibu-omotenashi.com/fudasho/fudasho34/temple_01/ /確認日:2026年10月14日(山号のよみ、経塚の伝承、釈迦如来像が戻った経緯、天井の龍の絵)

コメント

スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました